Shopifyの最新情報を常にキャッチアップしたい。
英語の公式ブログを見たらいいのは分かるけど、英語が苦手で読むのが大変。
最新情報を日本語に訳して、わかりやすい記事にしてほしい。
こんなことを考えている方へ。
この記事のポイントは以下です。
今回取り上げるShopify公式ブログの記事はこちらです。
| タイトル | Black Friday Cyber Monday Playbook: How Brands Prep for the Biggest Sales Weekend of the Year （ブラックフライデー＆サイバーマンデー完全攻略法 – ブランドはこの年間最大のセール週末にどう備えるか） |
| 記事公開日 | 2025年10月14日 |
| 記事URL | https://www.shopify.com/blog/bfcm-strategies |
| 内容 | The BFCM season is a can’t-miss opportunity for businesses large and small, but it takes planning to pull off a seamless operation for your customers and business alike. （BFCM（ブラックフライデー＆サイバーマンデー）シーズンは、大規模・小規模を問わずすべての事業者にとって見逃せないチャンスですが、顧客にも自社にもスムーズな運営を実現するには事前の計画が不可欠です。） |
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ブラックフライデー＆サイバーマンデーの攻略にむけて（BFCMの攻略にむけて）
70年前、感謝祭の翌日にアメリカのメインストリートで行われた小規模なセールイベントとして始まったブラックフライデーは、今や数週間にわたる世界的な小売りの祭典へと進化しました。
ブラックフライデーとサイバーマンデー（BFCM）は、ひとつの「シーズン」として定着しており、11月初旬に始まり、感謝祭翌日の金曜日にピークを迎え、クリスマスイブまで徐々に続いていきます。
プレセールの招待、値引き合戦、SNS上でのブランドキャンペーン、そしてホリデー気分を盛り上げる広告。
これらすべてが、現代のホリデーショッピングシーズンを象徴する要素となっています。
ブラックフライデー＆サイバーマンデー（以下、BFCM）は、世界中のEC事業者にとってもっとも大きな商戦期です。Shopifyの最新レポート（2024年）によると、BFCM期間中の全世界の売上は前年比＋24%の115億ドルに達し、67,000以上のShopifyストアが過去最高の売上を記録しました。
これは、Shopifyを活用するすべてのブランドにとって、成長のチャンスがあることを意味します。
①顧客獲得活動は早めに開始する
多くのブランドはBFCMに向けて、夏の時期から戦略的に活動を開始します。
たとえばJones Road Beautyでは、9月初旬から10月末にかけて、異なるターゲット層に向けた新製品を3回リリースしています。
ブランドマーケティング担当のPayal Plofker氏は次のように述べています。
「できるだけ多くの人々にブランドに興味を持ってもらうことが目標です。BFCMの前からお客様との接点を作ることで、セール時の購買意欲を高めています」
またBeekman 1802では、毎年夏の終わりにはホリデーシーズンのテーマやストーリー作りを開始します。
共同創業者のDr. Brent Ridge氏は、次のように述べています。
「ストーリーテリングを中心に準備し、顧客をホリデー期間を通して引き込みます。BFCMの時期には、すでにブランドに興味を持った状態で顧客がセールに臨むことができます」
このように、BFCMは単発のセールではなく、年間を通じて顧客との関係を築き、準備を積み重ねることが重要です。
②割引は戦略的に設計する
過度な割引をすれば売上は伸びるかもしれませんが、ブランド価値が損なわれたり、忠実な顧客の反感を買う可能性があります。
Shopifyの分析によると、BFCM期間中に最も効果的なのは10〜25％の割引です。
また、“割引を出す場所・方法”の選び方も重要です。たとえば、全体割引よりも「セット割引 (bundle)」が好ましいとの声もあります。例として、高級ヘアケアブランド Crown Affair は、通常時は“Build your ritual” バンドルを 15% 割引で提供し、BFCM 期間にはこれを 30% に拡大する手法を取っています。
マーケティングディレクターのJordyn Casaus氏は、次のように述べています。
「サイト全体で50％オフを表示することはありません。ブランドの美学に合った方法で割引を提供することが大切です」
つまり、ポイントは次の通りです。
- 自社のマージン構造を把握し、最悪でも赤字にならない範囲を見定める
- 改悪感を与えないよう、ブランドメッセージと整合させる
- セール表現（キャッチコピー、見せ方）にも配慮する
③セールのタイミングはブランド目標に合わせる
セールをいつ、どのくらいの期間行うかはブランドの目標と価値観に合わせるべきです。
いくつかのアプローチの例を紹介します。
📅月単位のセール
Graza は 10月中に “Friendsgiving sale” を展開し、BFCM 期に被らないキャンペーン期間を設けています。これにより、ノイズの少ない時期に注目を集める戦略を実現しています。
📅短期間集中型セール
Our Place は BFCM セールを限定期間に絞り、その瞬間性を強調するアプローチを取っています。長く延ばしすぎると価格戦略全体を崩すリスクがあるためです。
📅代替セール日
Set Active は BFCM のあとに “Setmas（12月のブラックフライデー風セール）” を自社で設け、顧客を再び引きつける工夫をしています。
このように、セールのタイミングを柔軟に戦略化することで、他ブランドと過度に競合せず、自社の強みを活かしやすくなります。
④需要に備える
BFCM 期間には予測不能な需要増が起こるため、在庫管理・発注体制・サイト耐久性などを予め整えておくことが非常に重要です。
Crown AffairのJordyn氏と同社の製品・オペレーションチームは毎年次のような確認をしています。
「昨年は何をしたか？ 需要はどのくらいだったか？ すべてのSKUの売れ行きはどうだったか？ それを基に、今年達成すべき収益目標に合わせて購入や計画を立てています」
売上予測だけでは十分ではありません。予期せぬ需要変動に対応するバックアッププランも必要です。安全在庫を確保し、在庫アラートを設定し、人気商品の自動再発注ポイントを設定しましょう。
Shopify POSのStockyアプリを活用すると、仕入れリードタイムや予測需要に基づき最小在庫レベルを設定でき、閾値を下回った場合は自動で発注書が生成されます。
さらに、プロテインスナックブランドElaviでは、在庫増強だけでなくウェブサイトの対応力も強化しています。共同創業者のMichelle Razavi氏は、次のように述べています。
「サイト上のすべてをテストしています。ウェブサイトやポップアップを更新するときは、何も壊れていないか確認する必要があります。特に新商品やバンドル商品については、バックグラウンドで徹底的にテストを行い、『これで問題ないか？』を確認しています」
つまり、次の準備を行うことが大切です。
📊過去データ分析
前年の売上・SKU別売れ筋をもとに、今期の目標売上とのギャップを把握する。
🚚安全在庫 (safety stock)、低在庫アラート、自動再発注 (automated reorder) の設定
例えば Shopify POS 用の Stocky アプリでは、供給リードタイムを含めた最小在庫数を設定し、在庫が下回ったときに自動発注できるようにできます。
💻サイト動作テスト
ウェブサイト、ポップアップ、バンドル商品、チェックアウト等を事前に徹底テストし、不具合を潰しておく。 Elavi はセール前にサイト変更を行いつつ、すべての導線が壊れていないか確認していると述べています。
⑤セール後も顧客との関係を維持する
BFCMは単なるセールイベントではなく、新しい顧客との関係を築く絶好の機会でもあります。
BFCMで獲得した新規顧客をリピーターに育てることが、長期的な売上とブランドの価値向上につながります。
Crown Affair社では、BFCM終了後に以下の施策を実施しています。
このように、顧客との信頼関係を保ちつつ、割引以外の価値提供を意識したアプローチが重要です。
- メールや SMS を通じて VIP・ロイヤル顧客限定の追加割引 を提供
- BFCM 過ぎた後に 新商品のローンチやキャンペーン展開 を計画し、顧客を維持
- 割引で来た顧客に対し、割引なし商品や付加価値サービスを訴求するフォロー設計を行う
⑥通年でインサイトを得る
BFCMの成功は一夜で生まれるものではありません。多くのブランドは年間を通して顧客データを収集・分析し、BFCMに向けた戦略を最適化しています。
- Our Place チームは、1月から様々なチャネルで実験を重ね11月時点で最適化された戦略を持ち込めるようにしています。
- Beekman 1802 も、消費者フィードバックを年中収集し、顧客が何を求めているかを把握する動きを重視しています。
このように、早期のテスト、仮説立て、データ収集を行っておくことで、BFCM 本番での意思決定がブレにくくなります。
⑦割引以外のアプローチも検討する
BFCMは必ずしも割引だけが成功の手段ではありません。ブランドによっては、理念や社会的価値を前面に出すことで、価格以外の魅力を訴求する戦略も有効です。
🛒理念を訴求する休業 / イベント
REI は「Opt Outside（ブラックフライデーは店舗を閉める）」を毎年実施し、ブランドの価値観を伝える機会としています。
🌲グリーン・フライデー
環境配慮ブランド Tentree は、BFCM 期間中販売した商品ごとに樹木を植えるなど、サステナビリティメッセージとリンクさせる施策を使っています。
📅寄付付きプロモーション
Poppy Barley は、2024 年の BFCM において、純利益の最大額を慈善団体に寄付する施策を実施しています。
事例として紹介されているShopifyストアまとめ
本記事で登場したShopifyストアをまとめました！
Jones Road Beauty
https://www.jonesroadbeauty.com/
クリーンビューティーブランドで、Bobbi Brownが創設。ミニマルメイクを提案しています。
Beekman 1802
https://beekman1802.com/
ヤギのミルクを使用したスキンケアとボディケア製品を提供するブランドです。
Crown Affair
https://www.crownaffair.com/
髪のケアと儀式を重視したヘアケアブランドで、製品とコミュニティを通じて新しい習慣を提案しています。
Graza
https://www.graza.co/
高品質なエクストラバージンオリーブオイルを提供するブランドで、毎日の料理に適した製品を販売しています。
Our Place
https://fromourplace.com/
キッチン用品を中心に、食卓を豊かにする製品を展開するブランドです。
Set Active
https://setactive.co/
アクティブウェアを提供するブランドで、フィットネスと日常使いを両立させた製品を展開しています。
Elavi
https://elavi.co/
低糖質で高タンパクなブラウニーとデザートスプレッドを提供するブランドです。
REI
https://www.rei.com/
アウトドア用品を取り扱うブランドで、会員制の共同購入モデルを採用しています。
Tentree
https://www.tentree.com/
環境保護を重視し、製品の販売ごとに樹木を植える取り組みを行っているブランドです。
Poppy Barley
https://poppybarley.com/
サステナブルなファッションを提案するブランドで、BFCMの利益の一部を慈善団体に寄付しています。
【参考】Shopifyでできる日本向けのBFCM対策
日本国内向けにShopifyでできるBFCM対策を紹介します！
Shopifyを使って日本市場向けにBFCM（ブラックフライデー＆サイバーマンデー）を最大限に活用するには、単に海外のセール戦略を真似するだけでは不十分です。
ここでは、Shopifyの機能やアプリを活用し、日本の消費者に最適化したBFCM対策のポイントを解説します。
Shopifyの機能とアプリをフル活用し、日本市場向けにセール戦略を最適化することで、海外事例を参考にしつつ日本の消費者に響くBFCM施策を実施できます。
①セール開始時期と期間の設定
- Shopifyでは割引コードや自動セールスケジュールを簡単に設定可能です。
- 日本ではブラックフライデーが海外ほど定着していないため、11月末〜12月初旬の短期間セールや「週末限定セール」を活用すると効果的です。
- 自動化機能を使えば、事前に設定した日時でセール開始・終了ができ、手動操作の手間を減らせます。
②日本向け決済・配送対応
- Shopify Paymentsや外部決済アプリで、PayPay、コンビニ決済、楽天ペイなど日本の消費者が好む決済手段に対応可能です。
- 送料や配送条件もShopifyの送料設定や配送プロファイルで柔軟に管理可能です。
- 送料無料や翌日配送の設定をセール期間中に適用することで、購入意欲を高められます
③日本の顧客向けマーケティング
- Shopifyのメールマーケティング機能（Shopify Email）やアプリ連携で、BFCM向けの事前案内やリマインドメールを送信可能です。
- 日本の消費者はInstagram、Twitter、LINEなどをよく利用するため、SNS広告や投稿と連動させると効果的です。
- 商品レビューや使用事例を含むコンテンツを投稿し、単なる割引告知ではなく価値を伝える工夫も重要です。
④日本市場特化のオファー設計
- Shopifyではバンドル販売（組合せ販売）や数量限定セットを簡単に作成可能です。
- 日本の消費者向けに「割引率は控えめでも特典付き」など、付加価値で差別化したオファーを設計するのも効果的です。
- アプリ連携により、ポイント還元や購入者特典の自動適用も可能です。
⑤データ活用と事前テスト
- Shopifyの分析機能（Analytics）で過去の売上データやトラフィックを確認し、今年のBFCMでの需要を予測可能しましょう。
- 在庫管理アプリ（例：Stocky）を使えば、安全在庫の設定や自動発注が可能です。急増する注文にも対応できます。
- サイトのパフォーマンステストやモバイル表示の確認も事前に行い、セール期間中のトラブルを防ぐのも大切です。
まとめ
BFCMシーズンに向けた準備のポイントは以下の通りです！
①顧客獲得活動を早期に開始：夏から計画を立て、BFCM前にブランドに興味を持ってもらう
②割引は戦略的に：利益率やブランド価値を考慮して、無理のない割引を設定
③セールのタイミングはブランド目標に合わせる：期間や時期を工夫して、価格競争に巻き込まれない戦略を構築
④需要・在庫・ウェブサイト対応を事前に準備：安全在庫の確保やテストを通じて、急増するトラフィックに対応
⑤セール後も顧客を維持：新規顧客にフォローアップを行い、リピーター化を促進
⑥年間を通じた分析と改善：データに基づき、次のシーズンの戦略を最適化
⑦割引以外の価値も訴求：ブランド理念や社会的価値を前面に出すことで、価格以外の魅力を伝える
BFCMは単なる割引イベントではなく、ブランド戦略と顧客体験を総合的に試すシーズンです。
年間を通じた準備と改善、そして顧客理解の積み重ねが、年末の成功に直結します。
